ただの凡人はたっけえイヤンホホを聞き分けられるのか?
はじめに
イヤホンにこだわる人っていますよね。私のことなんですけど。
学生の頃はそれこそいろんなイヤホンを聴き漁っていました。Bluetoothイヤホンが主流になってきたあたりで段々と興味も薄れていったのですが、なけなしの所持金でいろんなイヤホンを買ったものです。もう覚えていないのですが、最初はaudio-technicaのイヤホンを色々買い漁っていた気がします。大学生になったころだったか、FenderのFxa5という機種を買い、リケーブルやら色々試していました。しばらくしてFinalのB3という機種を買い、満足してイヤホン沼からは抜け出しました。
最近、同僚がイヤホンを新調したいということで参考人としてついていったのですが、そこでKiwiEarsの存在を知りました。ミドル帯(3~5万円)の機種が並んでいるなか、8BAというドライバー数で目立っていた Orchestra lite という機種が目につきました。まさに数の暴力ですね。自分が興味を持っていたころはちょうど中華イヤホンが勢いづいてきはじめたころでした。リケーブル用のオサレケーブルを何本か買った覚えがあります。
どうしても気になってしまい少しだけ視聴したのですが、多ドラ故の情報量を感じつつも正直「あれ?こんなもんか?」と思ったので、実はイヤホンの違いなんてわかってなかったんじゃないかと思ったわけです。もちろんイヤホンのチューニングによって向き不向きがあることや、騒がしい環境下で限られた時間の試聴だったことが影響しているとは思いますが、はたしてそれらを取り除いたうえでもわたしは本当にスペックの違いを聞き分けられるのか?というのが気になりました。違いのわかる人間、憧れますよね。
というわけで実際に買ってみました。買ったのはいずれもKiwiearsのイヤホンで、エントリークラス(~¥10,000)の価格帯ながらハイエンド機に負けない完成度と名高いCadenza、ミドル帯の値段でハイエンド機に勝る完成度と名高いOrchestra liteの2機種です。自分が持っているFinal B3を基準機として、比較していきたいと思います。
言うまでもない注意点
以下はあくまでも私個人の感想です。人によって感じ方は違いますし、イヤホンの沼にどっぷり使っている人やプロの方からみればまだ「「そこ」」か、というような感じでしょうが、個人ブログなんでね。許してね。
あと、視聴環境はMacBook直挿しでイヤーピースも標準のものです(B3の方は同じfinalのtype eに変えてますが)。
Final B3について
非常に解像感の高いイヤホンで、楽器の細かなニュアンスの違いまで感じられる音です。特にボーカルの解像感は素晴らしいです。finalらしい(と自分は思っている)華やかな高音も特徴で、刺さる感じは全くなく聞き惚れするくらい綺麗に鳴っています。低音は決して強くはないですが、はっきりと感じられるくらいには存在しています。
音楽を聞いているときには、意識を向けていると聞こえる音と、自然に聞いていて聞こえる音に分かれると思うのですが、このイヤホンはボーカルのブレスの強弱やギターのピッキングの細かな違いが自然に聞いていても聞き取ることができます。かといって他の音が埋もれてしまっているかというとそうではなく、分離感も素晴らしいです。音場感は狭めかもしれませんが個人的には適度に広がっている感覚で、近すぎず遠すぎずの距離感で鳴らしてくれます。
初めて試聴した時にはハイテンポな電子系の曲でも音が潰れずに聞こえ、その解像度の高さに驚いたことを覚えています。高級なイヤホンを使った感想として「聞こえなかった音が聞こえる」という表現が用いられることがありますが、このモデルは自分にとってまさにそんな感想をもたらしてくれたイヤホンだと思っています。
残念ながら販売終了しているので、壊れたら二度と買えません。
Cadenza
購入当時(2026/01/12)は¥6,050ほどで購入できます。第一印象は「ハキハキとした明瞭な音」でした。音場はかなり近め、余韻は控えめでテンポよく音楽が進んでいく印象です。B3が持つ豊かな響きと比べると、Cadenzaは余韻(音の伸びとも言えるでしょうか)が少ないなと思いました。音の減衰が早く、あっさりとした印象です。バイオリンやギターの中音域〜高音域にかけての音は特に綺麗だと思いました。弾き語りなど、シンプルな構成の曲には合うと思います。
ただ、採用されているドライバーの性質か、かなり硬めの音になっており、個人的には曲によって高音がやや刺さるような、シャリシャリとした質感が感じられる場面もありました。低音の量感はやや控えめで、曲によっては他の音に埋もれてしまっていると感じました。また、音数が多い曲では音がまとまっていない印象を持ちました。解像感はありますが密度が低い音に聞こえます。そのこともあり、特にダンスミュージックやEDMなどの情報量が多いかつ電子音楽系の楽曲とは相性が悪いように聞こえました。全体的に音全体が軽快で、良く言えば爽やか、悪く言えば物足りないと感じました。
Orchestra lite
購入当時(2026/01/12)は¥41,800でしたが、Amazonのセールで¥24,000ほどまで値引されていました。8基のBAドライバーが織りなすサウンドは、確かに情報量が多く楽器の分離感も良好です。開封してパッと聞いた感想としては、音の配置感が特徴的だなと思いました。
音楽を層で聴いているような、立体的でありながら独特の距離感を持ったサウンドです。周波数特性としては強調されている帯域はなく全体的にフラットな印象ですが、楽器ごとの距離の差は明確で、このコントラストが面白い体験になっています。8ドライバー編成ならではの分離感の高さが感じられる音でした。
Cadenzaと同様に、音の質感はやや軽めに感じました。B3と比較するとどうしても音の響きが弱く感じてしまいます。特にボーカルの軽さが気になる場面もありました。テンポの速い曲ではその軽さがやや物足りなく感じることもありましたが、これはボーカルホンだったB3に聞き慣れていたこその感想かもしれません。
楽器の数が多い楽曲でも、それぞれが明確に分離して聞こえます。各楽器の音が他の楽器に埋もれることがなく、はっきりと聞こえます。B3も解像感は高いですが、俯瞰で聞くこともできる程度の分離感だと個人的に感じており、ここまで各パートの分離感が高いのには驚きました。名前にある通り、オーケストラは相性が良いジャンルの1つだと感じました。細かい音もしっかり拾ってくれますし、各楽器の位置関係の再現が精密な印象を受けました。
開封してすぐは低音がもう少し欲しいと感じましたが、聴き込むうちに感じ方が変わりました。しっかりと存在感のある音量バランスで鳴っており、バランスはかなり良好で自分好みの音です。価格帯を考えると当然かもしれませんがCadenzaと比べると音のまとまりが感じられ、密度のある音だと思いました。
さいごに
ブラインドテストしてないので、本当の意味で聞き分けられるのか?という問いには答えられていない気もしますが、少なくとも違いが分かった上で聞き分けるというのはできそうでした。価格帯もありCadenzaとOrchestra liteでは違いがわかりやすかったですが、あくまで個人の好みが原因で違いが際立っているだけで、価格帯を踏まえた上でのCadenzaの音のレベルの高さは目を見張るものがあります。
B3とOrchestra Liteを比較すると、音の響きや余韻という点ではやはりB3の方が優れていて、個人的にはB3の方が好みだと感じました。特に電子系ジャンルの女性ボーカルを聴いた時の響きの良さは圧倒的で、改めてB3の魅力を再認識した形です。一方でOrchestra Liteは、いわゆるモニターライクな音作りで、分離感の素晴らしさは特筆すべき点です。各楽器がはっきりと聞こえながらも全体的なまとまりは失われておらず、これはこれで好みの音に近いと思いました。使い分けとしては、Orchestra Liteは軽く聴く時や作業中のBGMとして、B3は腰を据えて楽しみながら聴きたい時に、といった感じになりそうです。
最後に簡単に、今回購入したイヤホンそれぞれの印象をまとめておきます。
Cadenza
Orchestra Lite
久しぶりにイヤホンの聴き比べをしてみて、改めて自分の音の好みを把握できた気がします。細かい音を細部まで分析的に聴き分けるというよりは、曲全体の雰囲気に浸りたいタイプだと思います。解像度は高い方が良いけれどそれ以上に音楽的な美しさや余韻を楽しみたいといった感じ、といったところでしょうか。




